ニートの現状と接し方
聖教新聞2005年11月17日付
くれよんくらぶ656号
 
NPO法人「ニュースタート事務局」ふたがみのうき二神能基代表に聞く
 15〜34歳くらいの無業者を指すニートは、近年急増し、注目されています。今回は、その現状と、親をはじめとする周囲の接し方について、『希望のニート』(東洋経済新報社刊)の著者であり、NPO法人「ニュースタート事務局」代表としてニートの若者への支援を続ける、二神能基さんに聞きました。
 
"家族をひらく"意識もとう
社会力が低下している
――ニートと呼ばれる若者たちの様子を教えていただけますか。
 当然ですが、特に病的な子ではありません。普通の子であり、むしろ、どの子もニートになり得ると感じています。ただし、彼らの「社会力」が低下しているなあ、ということは強く感じます。困っている問題のほとんどが、「人間関係がうまくいかないこと」ですね。また、比較的、有名大学出身者が多いですね。勉強ができたので、親や教師は安心していたようです。しかし、勉強は"引きこもり活動"であって、社会力は必要ありません。社会に出てからついていけなくなっているのです。
 
――そのほかに、特徴として挙げられることはありますか。
 ニートの若者たちに、「一番守らなければいけないと思っていることは何?」という質問を投げかけてみると、最も多いのは「他人に迷惑を掛けてはいけない」です。もちろん、このこと自体は間違いではないのですが、私には「まじめな子が過剰に反応している」と感じられてなりません。人と付き合うということは、多少なりとも迷惑を掛け合うことを避けては成り立ちません。このことをあまりにも気にしすぎると、友達をつくることができなくなってしまうのです。
 
寮生活」と「仕事体験」
――子どもの社会力の低下について、どうお考えですか。
 やはり、社会全体に人間関係が希薄になっていることと無関係ではないでしょう。最近の調査では、3歳の子どもの遊び相手で、一番多かったのは「お母さん」でした。私は驚きました。しかも、お母さんとしか遊ばないといっても大げさでない子どももいます。私は、こうした育児を「カプセル育児」と呼んでいます。その結果、30歳すぎのサラリーマンになっても、「お母さんと話をしたい」と、会社が終わると、ほかの人と付き合うこともせず、毎日、真っすぐ家に帰るという人もいました。
 
――二神さんが代表を務める「ニュースタート事務局」では、どのような支援を行っているのでしょうか。
 現在、100人くらいのニートとなった若者をあずかっています。ここでは、「寮生活」と「仕事体験」の二つを柱として、支援に当たっています。皆の様子を見ていると、どちらかというと、寮での共同生活の方が、社会力をつけることにつながっているように感じます。ニートの若者に自立を望むあまり、周囲の言葉が、本人たちにとっては「自立の脅迫」にすら感じられることがあります。ですから私たちは、とりあえず「50%の自立」を勧めることから始めています。
 
いろいろな人と接点をつくる
子育ての結果は"偶然"
――それらの対策のほか、予防策としてはどのようなことが考えられますか。
 このように考えてくると、「友達と遊ぶ」ことも、ニート対策と言えるかもしれません。 また、そもそも、親の社会力がすでに低下している影響で、子どもの社会力が、さらに低くなっているとも言えます。まず親自身が、積極的に社会や周囲の人たちとかかわりをもっていく姿勢をもちたいものです。私は、それを"家族をひらく"という言葉で表し、訴えています。
 
――やはり家庭の影響が大きいのですね。
 はい。しかし、すべての子育ては、失敗でもあり成功でもあると、私は思っています。つまり、"偶然の産物"なのです。そもそも、子どもは親の思っているようにならないのです。
 
 ニートも、かならずしも失敗ではありません。親が悪いわけではありません。まじめで一生懸命すぎる親が、知らず知らずに自分を追いつめ、子どもを追いつめていることがありますが、まじめすぎる親が、すべてうまくいかないわけでもありません。
 
 個別の問題もさることながら、「核家族自立主義」とでもいいますか、社会における家庭のあり方そのものが、ある意味で行き詰まりを見せているのではないでしょうか。私は、子どもを育てるためには、親二人だけでは足りないと考えています。どうしても、親二人の社会力には、限界があるのです。だからこそ、"家族をひらき"、いろいろな大人との接点を、意識してつくっていくことが重要になるのです。
 
【お知らせ】
ニュースタート事務局が、「『自立』って何だ?!」をテーマに、第8回日本列島縦断「若者」トークライブを開催します。ここでは、ニート・引きこもりの状態から一歩踏み出した若者が中心となり、トークライブと質疑応答が行われます。
 
【日程】
● 札幌  11月21日(月)かでる2.7
● 仙台  11月23日(水・祝)仙台市福祉プラザ
● 東京  11月25日(金)日本青年会
● 名古屋 11月26日(土)愛鉄連厚生年金基金会館
● 大阪  11月27日(日)府立青少年会館
● 広島  11月29日(火)広島YMCAホール
● 福岡  11月30日(水)都久志会館
*時間は、各会場ともに18時30分〜20時30分
 
【参加費】
2000円(要予約)*学生、ニートの若者は1000円。
 
【問い合わせ・申し込み】
同事務局(TEL 047〈307〉3676まで。
 
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