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「協働ってなんだ!」現場職員のナヤミ
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ガバナンス2006年1月号の掲載記事より
くれよんくらぶ694号 |
| 【移動したくない部署ナンバーワン】 |
| 「あぁ・・・二日酔いでタバコがまずい」。X市役所内の喫煙スペースに入ると、Aさんが苦い顔で笑いかけた。「また飲みすぎかぁ?」とふざけると、「まぁ、飲みすぎもあるけれど、ちょっと辛い飲みになっちゃってさぁ」と話し始めた。 |
| X市は「市民派」首長のもと先進的な協働施策を展開していることで注目を集めている。共同推進の中心的役割を果しているのは、Aさんが配属されているNPO活動推進課。他自治体からの問い合わせやマスコミ取材も多く、庁外からは「花形」の部署と言われることもあるが、その実情は甘くないという。 |
| 例えば、残業時間は庁内トップ。市民と一緒に仕事をするため土日出勤が多いうえに、市長や他部署との打ち合わせも頻繁にあるからだ。「ろくに休みもとれない」「市民との折衝で効率的な仕事なんてあり得るのか」など、職員の悩みは大きい。いまや「庁内で異動したくない部署ナンバーワン」として不動の地位を確立しているそうだ。 |
| そんな中、厳しい財政状況を受けて、庁内では「事業費、人事費の削減圧力」が年々強まっている。当然、批判の矛先は残業代が多いNPO活動推進課に向かうことになる。すでに経費を削減された部署からは「市長の"ご加護"を受けている」といった"恨み節"さえ聞かれているという。「正直やりにくいなぁと思うことが増えてきたね」とAさんはボヤく。「昨日も、酒の席で批判されちゃってさぁ・・・」 |
| Aさんが飲みに行ったのは、道路課に配属されている同期。お互い酒が好きなこともあって、入庁以来交流を深めてきた仲良しだ。それだけに遠慮なく、ズバリものを言う。「協働や市民参画って、本当に必要なのか?」「残業代が多いけれど、何でそんなに忙しいんだ?余計な仕事してんじゃないのか?」「道路関連の予算は減らされ、住民からの要望に応えられなくて苦労しているんだ」「NPO活動推進課が昨年もってきた『市民協働の道路づくり事業』は迷惑だった。市長とのワークショップは時間がかかってしょうがない。スピードの時代だぞ?」・・・・。 |
| もちろんAさんも「今後の財政見通しを考えても、自治体だけで公共を担うのは不可能。市民と協働していくのは絶対必要」「われわれも市民も協働に馴染んでくれば、もっとスムーズになって残業も減っていくはず」「スピードだけが絶対の価値じゃない。市民が"自分たちの道路"と思えるかどうかで全然違ってくる」と反論。しかし、同期は「市民の中には「NPOなんて知らない、『とにかくさっさと道路をつくってくれ』という人もいる。そういう市民の方が多いんじゃないのか?」と再反論するなど最後まで議論は平行線を辿った。 |
| 「ホンネでぶつかれるのが同期のよさだけれど、昨日は辛かった。俺だって、仕事でムリを重ねて疲れてんだけどなぁ。市長の思いもあって仕事はどんどん増えるし・・・」。Aさんはタバコを消しながらちょっと寂しそうにつぶやいた。そして「でも、いい地域づくりに協働は欠かせないと俺は思うんだ。とにかく、やるしかないよ」と笑って職場に戻っていった。 |