少子化対策 園児補助金疑問視財政審『出生率に影響せず』
東京新聞10月21日付
くれよんくらぶ924号
 
 東京新聞10月21日付朝刊9面に「少子化対策 園児補助金疑問視財政審 『出生率に影響せず』」のタイトル。以下リード文全文、および本文の一部掲載。
 
 財政制度審議会(財務省の諮問機関)は20日、財政制度分科会の会合を開き、2007年度予算の教育関係費や防衛費などについて議論した。財務省は「私立幼稚園児に支給する補助金を多くしても、出生率アップにほとんど影響しない」とする調査結果を報告。政府が少子化対策として保護者の負担軽減策を検討していることに対し、財務当局は効果を疑問視、さらなる財政支出に慎重な姿勢を見せた。
 
 幼稚園は公立よりも私立が多く、2005年度の私立幼稚園数は約8千3百、園児全体の約8割が私立に通う。これら私立幼稚園に対し、国は私学助成と就園奨励補助金を計465億円支給した。財務省は今回、都道府県や市町村が交付する同様の補助金の実態を初めて調査。その総額は2500億円近くに上ることがわかった。
 
 これにより私立幼稚園の「財源」の内訳は、@保護者からの保育料などが約2600億円、A国と地方の補助金が約2900億円・・の合計5500億円であることが判明。園児一人あたりでは、43万7千円の費用を保護者が20万3千円、国と地方が23万4千円、それぞれ負担した形となった。都道府県別では補助金の支給額が最も多いのは東京都の約30万円、少ないのは神奈川県の約18万円だった。
 
 政府の7月の「骨太方針2006」で、「幼児教育の将来の無償化について検討しつつ当面、保護者負担の軽減を充実する」との少子化対策を決めた。しかし、財務省は園児一人当たりの補助金の支給額が全国一の東京都の合計特殊出生率が全国最低であることを強調。「歳出増につながる保護者の負担軽減の拡大は、慎重にすべきだ」などと主張した。
 
以下、防衛費の部分は削除しました。
 
私立幼稚園児1人あたりの公費投入額と出生率
【上位5自治体】
都道府県名
投入額
合計特殊出生率
東 京
30万3千円
0・98
秋 田
27万9千円
1・27
京 都
25万2千円
1・13
山 口
24万7千円
1・33
青 森
24万7千円
1・25
 
【下位5自治体】
都道府県名
投入額
合計特殊出生率
香 川
20万8千円
1・39
山 梨
20万8千円
1・31
愛 媛
20万7千円
1・30
愛 知
20万5千円
1・30
神奈川
18万2千円
1・17
 
ちなみに、ふぼれんが2002年度に調査したときの、大田区内の乳幼児一人当たりの年間公費投入額は以下の通りでした。※この4年間でだいぶ変化しています。
公立保育園 188万円
私立保育園 174万円(調査以降、公私間の格差はだいぶ広がっている)
認証保育園  89万円(2006年度から保護者保育料年間12万円助成)
指定保育室  86万円(2006年度から保護者保育料年間、幼児12万円、乳児6万円)
保育ママ 102万円
区立幼稚園  71万円
私立幼稚園  20万円
乳幼児
医療助成
  5万円
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ふぼれん事務局長 菅野司のコメント

 先ほどの区議会こども文教委員会で幼稚園関係の陳情が審議された際、「幼稚園児一人あたりの公費投入額」の質問があったが、「調査していないので不明、次回回答」との答弁があった。ふぼれんが調査した結果を公表してから4年が過ぎた。ぜひこの問題は次の区議会でどなたかが質問し、「新しい調査結果」を行政に要請してほしいものである。保育園園児への公費投入額が高いのは、公務員の給与が異常に高いためである。またゼロ歳児の場合のように、3人の子どもに1人の保育士が配置されることも背景にはある。保育園の5歳児だけに限っていえば、年額は67万円となる。ただし、保育園の運営経費の90%以上は人件費である。
 
 安倍内閣になってから、少子化対策・次世代育成より教育再生へと、国の重点施策の変更が起きている。この分野での施策づくりでは、国はなかなか妙手を見つけられないでいる。しかし、どこに力をこめるのかは誰が見ても明らかである。乳幼児対策と就学前の子どもをもつ家庭への充実した支援こそ21世紀の国づくりの基本だ。そこを飛び越しての「教育再生」では、また何年後かに議論が起きる。子育てと教育には即効薬はないのである。多少時間がかかるが、じっくりと時間をかけて心ある地域市民を公募(公募が大前提)して、地域を基礎に新しい仕組みを構築することが、遅いようでも最も早い対応となる。
 
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