くれよんくらぶ927号
変わる働き方 改正均等法の指針
「出産したらパート」禁止 不利な賃金算定、配転にも条件
読売新聞10月20日付
 
 東京都内の大手システム企業で働く正社員の女性(40歳代)は、ソフトウエア開発を担当するシステムエンジニアだった。だが、5年前に出産し、1年後に復帰すると、それまでの仕事とは無縁の事務系仕事を命じられた。新たな職場は神奈川県内にあり、通勤時間は30分増え、2時間にもなった。そこは子育て中の女性社員が多く配属されていた。子どもは保育園に預けることにしたが、送り迎えのため、早出や残業は出来なくなった。同じシステムエンジニアの夫は長時間労働勤務のため、子どもの送迎には協力できないという。女性は1時間の昼休みを半分削って働いたが、人事評価は出産前の「最高」ランクから「最低」に落とされた。賃金も大幅に減った。
 
 労働組合の「女性ユニオン東京」が女性から相談を受けて会社側と交渉したところ、会社側は「責任ある価値の高い職務を担当するには、長時間働けることも必要。それも能力のうち」と回答したという。同ユニオン執行委員の伊藤みどりさんは「育児・介護休業法で、育児のために勤務時間を短縮できる。彼女の場合は逆に、昼休みを短縮して頑張ったことまである。それなのに、会社側が『長時間働けないから能力が劣る』と決めつけるのはたまらない」と訴える。同ユニオンには年間約600件の相談が寄せられる。妊娠や出産に関連して寄せられる相談の大半は、解雇や労働者に不利な配置転換などについてのもの。相談者は、パートや派遣労働者などの非正規労働者が多い。
 
 来年4月施行の改正男女雇用機会均等法では、妊娠・出産を理由とした「不利な処遇」の禁止内容を広げた。今回の指針では、その「不利な処遇」を具体的に示した。解雇のほか、正社員からパートへの無理な契約変更や、パートの契約更新をしないことなどは明らかに「不利な処遇」と判断される。また、派遣労働者の場合、派遣契約に定められた仕事が出来るのに、妊娠などを理由にその人を断ったり、別の人に交代するよう求めたりすることも認められない。ただ、労働条件や通勤事情などが悪化するような勤務配置にしたり、賃金やボーナス、退職金で不利な算定をしたりすることは、一定の条件をつけた。そのため、指針に対する不満の声も聞かれる。例えば、ボーナスなどの算定について、妊娠や出産で休んだ期間が、同じ期間に病気で休んだ場合と比べて不利に扱われたかどうかを判断要件として示している。伊藤さんは「病気と同列に扱われては、女性は安心して休むこともできない」と批判する。
 
 法政大学助教授(女性労働論)の武石恵美子さんは「妊娠・出産による不利な扱いがないことは当たり前なのに、それが実現していなかったことが問題。指針の内容を職場に定着させ、働く人が安心して出産・育児のできる環境整備を進めることが大事だ」と話す。
 
【ふぼれん事務局長 菅野司のコメント】
 職場での男女平等が一番遅れています。女性による「不当な働かせ方」の訴えは、年間3万件を超えるといいます。これは1日100件のも訴えがあるということです。資本の側は「CSR」などの美名の裏で、旧態依然の労働を男性にも女性にも強いています。
 
 社会的規範の遵守は、まず第1に企業、公務員、政治家が率先して手本を示さなければなりません。「人として人間らしく家庭生活を営めることのできる社会」は時代のなかでますます遠のくばかりです。
 
 入園相談をしているとそのこと強く感じます。午後5時に退社できる相談者は「私の相談者」に限って言えば皆無です。ふぼれんは今回、「午後7時には家族そろって夕食の食べられる社会」をスローガンとして掲げました。
 
 いま求められていることは、「家族政策」の確立です。子ども支援、母親支援などを個々に論じるのではなく、全体を包括的に論じることのできる「家族支援」を具体化することです。
 
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