ガバナンス2月号 
浅野前宮城県知事浅野史郎さんの記事より
くれよんくらぶ1000号
ふぼれん事務局長 菅野 司
 
 区長選挙の話が「うわさ」の範囲から、真実味を帯びた話へと移動してきています。昨日のメールおよび掲載記事で、いろいろな方から電話やメールが届き始めました。「菅野さんは」どうするのですか、との問いかけも盛んに発せられるようになってきています。本日は、行政雑誌「ガバナンス」2月号に掲載されている、前宮城県知事の浅野史郎さんの記事を織り交ぜながら、区長選挙に対するボクの考え方を少し描かせてもらいます。
 
 ご存じない方もいると思いますが、浅野さんは、多くの歴代都道府県知事のなかでは、もっとも「改革派」の知事として評価されている方です。1948年生まれ、東大、厚生省を経て、93年に宮城県知事に当選、3期12年をもって知事職を勇退しました。現在は慶応大学の総合政策学部教授として活躍しています。「言行不一致」の社会のなかで「言行一致」を最後まで貫き、県政を市民自治の視点で改革してきた人物です。県政の運営も、財政面、政策面、人事面などすべての面でもっとも理想に近い形で運営した実績は、日本社会にあって大きな評価を受けています。
 
以下、浅野記事への感想とボクの思いです。あくまでも「首長選挙」についてです。
 
 まず浅野さんは、「選挙のありようが、首長のありようを決定づける」とか書き始めています。「いい首長になろうとしたら、いい選挙をすること」、そのためには、「選挙で特別な恩義を感じるような借りを作らない」と述べています。「選挙には金がかからない」と述べ、@「金がかからない選挙をすること」、A「旧態依然とした選挙をしないこと」が大切と強調しています。有権者は「候補者の戦い方」の図式を、きちんと見ておくことも大切と述べています。
 
 次に、「選挙では借りを作らない」ということは、B「政党・業界などの推薦・支援を受けない」ということです。政党や政治団体の党員や会員でないことが候補者の前提条件で、党籍を離脱して、無所属として立候補しているかどうかも選ぶうえでの大切な基準となります。C「大田区の職員経験者ではない」ことも、前提条件となります。この二つの条件にあてはまると、それぞれの「しがらみ」のなかで、いつしか身動きが取れない状況を作ります。候補者はまず「古いしがらみ」をすべて断ち切ることからはじめなくてはなりません。候補者の「心機一転」は大切な要素となります。
 
 浅野さんは文面のなかで、「職員の人事権を握っている首長の任期が長くなればなるほど、『言わぬが花』の風潮が職員間に広がっていく。不祥事が組織内からは明るみに出ない図式がこうしてできていく」と語っています。このことは、助役や行政幹部経験者が新しい首長になれば、「言わぬが花」の風潮は最初から出来上がった形で移行し、さらに行政運営の停滞を招くことになります。現在の大田区政を見れば、そのことがよく理解できると思います。改革は名ばかりで、職員は与えられた仕事のみをコツコツとこなすだけで、区民のために仕事するという目的から、さらにかけ離れた存在となっています。
 
 浅野さんは次に、「情報公開は組織を救う」「情報公開は転ばぬ先の杖」と語っています。D候補者は「情報の公開をあらゆる部門で推進する人」となります。区民のための区政であるのに、現在の区政運営を見る限り、都合の悪い部分を隠すだけでなく、必要以上に情報を隠す習慣がさらに広がってきています。区議会もそのことに慣れすぎて、理事者側報告を「口頭報告」で済ませるという悪習を断ち切れていません。区議会は、文書での報告と、その背景となるデータの公開をあらゆる点で要求しなくてはいけません。イエスマンばかりでは、チェック機能の役割は果たせません。その点で区長候補となる方は、E「区議会との関係を緊張感あるものにしていく人」となります。ここが大切で、行政幹部や議会のなかに味方は少なくとも、そのような姿勢を貫ければ多くの区民が区長を応援していきます。頼るべきは区民なのです。
 
 浅野さんは最後の部分で、「『地方自治は民主主義の学校』と言われながら、その学校に入学する住民は少なかった」と書いています。「住民が無関心であればいつかそのツケが住民に回ってくる」ことは、夕張を見ても明らかです。しかし、行政と住民とのかかわりを「民主主義の学校」としていくためには、それなりのシステムが必要となります。それがボクが一環して主張している、F「予算を予算作成の段階から住民と共に編成する」という提案です。G「区民参加の区政運営の徹底」の根底にあるものは、予算編成です。また、H「行政部門に対置できる区民会議の編成」も大切な課題です。緊張ある住民との関係は公約の大きな柱となります。
 
 最後は、政権公約を作成するうえで、その背景となる財源の問題です。この点では、会計士などが候補者を支援をしてくれると心強いです。ボクの考えは、I「手当て等を含む公務員給与のあり方の見直し」です。そして、J「NPOなどとの市民団体との連携のあり方の創意工夫と、一定の部門での行政施設の住民への委譲」です。保育園や図書館を民間に委託したにもかかわらず、区立ということで「運営」に縛りをかけているようでは、なんのための民間委託・民営化かと問われます。民間の活用にあたっては、民間の優れた面をもっと発揮できるように、運営面での自由裁量権の拡大が大切です。それと共に、給与面でも、年齢が上がれば給与も上がる保障をきちんと制度化すべきです。
 
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