06年出生率、1.3台回復へ 前年より3.2万出生増
朝日新聞2007年2月22日付
くれよんくらぶ1017号
 
 国内で06年に生まれた子どもの数は、外国人も含め112万2278人と前年より3万2041人多く、1人の女性が一生に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、過去最低だった05年の1.26から06年は1.3台に回復する見通しとなった。21日、厚生労働省が発表した人口動態統計の速報で明らかになった。日本で生まれた日本人の数も死亡者数を8000人程度上回る見込みで、総人口も06年は一時的ながら増加に転じていた。
 
 厚労省は、今年初めの時点では06年の出生数を「前年比2万3000人程度の増加」とみていたが、その後明らかになった11、12月の出生数が前年同期比で5〜7%も増えていたため、実績が見通しを約9000人上回った。
 
 日本で生まれた日本人の子どもの数は109万3000〜109万5000人程度で、前年の約3%増になる見通し。06年の正確な合計特殊出生率が出るのは6月だが、女性の人口や年齢構成などの条件を考えれば、02年以来4年ぶりに1.3を超えるのは確実という。
 
 厚労省は、昨年末に発表した最新の人口推計で06年の出生率を1.29と見積もっていた。 厚労省が挙げる要因は雇用の回復。05年6月以降、男性の雇用者数は一貫して増え、正社員数も06年1月から増えている。20代の女性の結婚する割合も増えており、「若い世代の生活が安定しつつあることが、結婚や出産の増加に影響を与えている」としている。
 
【ふぼれん事務局長 菅野司のコメント】
 本日2月22日の朝日新聞朝刊に「出生率1・3台回復」の記事が掲載されています。それに関して恵泉女学園大学大学院教授の「大日向雅美さん」が「法律文化」という雑誌06年11月号に、関連する記事をインタビュー方式で載せています。全部で6人の方が「少子化対策の検証」というテーマでインタビューに応じています。残りの5人は、前内閣府特命担当大臣「猪口邦子さん」、品川区児童保健事業部長「古川良則さん」、日本経済団体連合会「高橋秀夫さん」、日本総合研究所ビジネス戦略研究センター「池本美香さん」、
プロケア代表取締役「比嘉秀之さん」です。全文は長いので、関連する部分だけを抜粋して掲載します。
 
大日向さんの部分のタイトルは「ストーリーのある体系的な対策を」となっています。
 
 大日向さんは「少子化対策にはストーリー性が必要」と語っています。インタビュアーの問いかけ「海外にそのような取り組み(※働き方の見直し)の先進的事例はありますか。」に答えて、次のように語っています。
 
 「注目されているのがフランスです。少子化というのは先進国共通の課題で、ヨーロッパ諸国も軒並み低下する中、フランスの合計特殊出生率は1・8から1・9くらいまで戻ってきました。フランスの少子化対策というと「家族手当、児童手当てなどの現金給付を手厚くした」と言われていますが、そこにも誤解がありまして、その効果はあったとしても、限定的だということです。むしろ多様な働き方を可能にしたことが大きかった、とされています。例えば育児休業を3年間設けていますが、フルに取る人はあまりおらず、たいてい1年未満で復職しますが、そのときも、短時間正社員制度など、多様な働き方を保障しています。
 
 一方、親が安心して働くことができるように、保育を支える多様なサービスを充実させる。その上で低所得の方々を中心に必要なところへの現金給付を厚くする。そのようなストーリー性のある政策を講じているのです。それに比べて、先般、決定された政府の「新しい少子化対策について」からは、残念ながらそのようなストーリーが見えてきません。必要なメニューは取りそろえていますが、総花的であり、構造的に構成されたという印象は受け難いのではないでしょうか。」・・・以上です。
 
 大日向さんは、少子化対策を進める上で必要な事項として、「労働政策、地域の子育て支援施策、経済的支援」の3つを挙げています。しかし「労働政策」にかかわりのある日本の経済・労働の世界を見る限り、この分野は無法地帯化してきています。「家族がそろってしあわせに暮らせる社会」「午後7時には家族そろって夕食を食べられる社会」は夢のまた夢です。「キヤノン」のように、「働くものを機械の一部」のように使用している会社の社長が経済界のトップになっているようでは、「働き方の多様性」など実現するはずがありません。これが政治の世界なら、即「辞任」となるのに、経済界には浄化作用がありません。
 
 労働の分野でも同様です。正規職員の既得権を守るだけで、非正規に対する「思いやり」など労働組合にはないのです。正規職員の給与を下げることでしか、非正規の給与の上昇はないのです。いま、労働の分野でのワークシェアリングが求められています。極端に高い賃金が支払われている分野を大胆に見直し、非正規のシステムを改善することが重要です。「同一労働、同一賃金」の原則を、いまこそ国会で議論し実現するときです。格差の解消こそ、子どもを産み育てる社会の実現の前提なのです。
 
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