政府・与党に構想浮上『子ども省』
少子化対策、いじめ問題も
くれよんくらぶ972号
東京新聞2007年1月3日付
 
 行政の縦割りを廃し、少子化対策を一元的に実行するため、「子ども省」を創設する構想が政府・与党で浮上した。安倍晋三首相は25日召集予定の通常国会での施政方針演説で、少子化対策に内閣の総力を挙げる姿勢をあらためて示す方針だが、その目玉として、子ども省構想が具体化へ動きだしそうだ。(以上リード文)
 
 子ども省は(1)子育て支援税制(2)施設不足で保育所に入れない待機児童の削減(3)女性の再就職支援−の少子化対策を主管する役所で、児童虐待やいじめから子どもを守るための諸施策まで範囲を広げることも想定されている。こうした子どもに関する政策は、厚生労働省、文部科学省など複数の省庁にまたがっているため、効率よく進まない。この弊害を解消しようというのが子ども省構想だ。
 
 諸外国ではドイツが「家庭省」、ノルウェーが「児童家庭省」を設け、少子化、子どもについての政策を一元的に行っている。韓国は2005年に「女性家族省」を新設した。日本でも民主党が04年の参院選のマニフェスト(政権公約)で、「子ども家庭省」の設置を提言している。
 
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 政府・与党で「子ども省」構想が浮上したことには、行政組織の改編という難問にまで踏み込むことで、少子化対策を最重点課題として取り組む姿勢を示そうという狙いがある。子どもと家族を大切にするための改革は、保守層はもちろん社会の広範な理解も得られ、安倍政権の浮揚につながるという計算も働いている。
 
 政府の少子化対策は、内閣府が取りまとめている。しかし、実行に移そうとすると、厚生労働省や文部科学省、経済産業省などとの共管となる。しかも、高市早苗少子化担当相が沖縄・北方、科学技術政策、技術革新、食品安全の担当も兼務しているように、内閣府の業務は多岐にわたり省庁間の利害を調整して政策を進める体制ができているとは言い難い。
 
 政府は昨年10月、少子化対策の切り札として、保育所(ゼロ歳から就学前)と幼稚園(3歳から就学前)、それに子育て支援の総合的な機能を持つ「認定子ども園制度」を施行させた。約千の施設が認定されると見込まれていたのに、現状では、わずか3県7施設にとどまっている。
 
 行政の縦割りを廃し、少子化対策を一元的に進めるため、子ども省構想が浮上した背景にはこうした現状がある。2005年衆院選の際の自民党マニフェスト(政権公約)では、01年の中央省庁再編から5年を機に必要な見直しを行うことを明記している。昨年は省庁再編の議論はあまり進まなかったが、今年は子ども省構想を軸に議論が一気に進みそうだ。
 
 ただ、見直しは、閣僚数を定めた内閣法や内閣府設置法の改正を絡む、大作業となる上、与党には、新たな省創設は行政改革に逆行するとして慎重論もある。実現のかぎは、首相の指導力が握っている。
 
ふぼれん事務局長 菅野司のコメント
 1月3日の東京新聞に「子ども省」の記事が大きく掲載されています。これは、日本子どもNPOセンターの常務理事である「清川輝基さん」(NPO法人子どもとメディア代表)が、一貫して主張・提案していた思いを、日本子どもNPOセンター(子ども政策委員会)としてまとめ、多くの国会議員に働きかけをしていた提案です。牟田代表も、関係する民主党議員に働き続けいた提案です。菅野個人としては「構想としてはいいが、提案を実現させる展望はあるのかという点で、難しさを感じていた」提案でしたので、今回の記事を読んで「ビックリ」しているところです。
 
 子育て支援税制というのは、佐賀県の古川知事が昨年6月6日に発表した「育児保険構想私案」をベースにしたものと思われます。この構想は、子育て支援などの財源を介護保険同様社会保険として、社会全体で支えあう仕組みとなっているのが特徴です。佐賀県構想では、○20歳以上の全国民が負担する月額1800円の保険料(2・2兆円)と既存の税財源(2・2兆円)をあわせ、4・4兆円の財源を確保。○保育サービスを利用する場合は、育児保険から8割を支払い、2割を自己負担。○保育サービスを利用しない場合は現金を給付(段階的に月額5万〜5000円)。○12歳以降も18歳まで児童手当の給付を継続というものである。(詳しくは「ガバナンス」2007・1月号を参照)
 
 子ども省、子育て支援税制など、聞きなれない言葉が聴かれるようになりました。いよいよ国も本格的に「少子化対策」に足を踏み出そうとしてきています。しかし、少子化対策だけでは国の未来を安定させることはできません。子どもと子育て家庭支援の分野でも具体的な対策と対応が急がれます。それぞれの自治体でも国の施策を待つことなく、自治体独自の施策と対応を再度見直す必要があります。今回、発表された「大田区政に関する世論調査」を見ても、子育ての分野での各家庭の区政への思いは、国や自治体の施策とはずいぶんとかけ離れています。
 
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